カツオのたたきにする理由(メリット)は?保存技術のない時代にできた漁師の知恵
カツオの代表料理と言えば、誰もが知っている「カツオのたたき」ですが、なぜカツオを「たたき」にするのか、その理由をあなたは知っていますか。
また「カツオのたたき」の料理名の由来、そもそも「たたきとはなんだ?」などと合わせて、カツオのたたきにする理由をご紹介します。
カツオのたたきとは?
カツオのたたきは、カツオの身を火で炙り、氷水で締めて作る料理だと思われがちですが、これは「カツオのワラ焼き」です。本来はカツオを炙るときは、ワラを用いて焼くのが正しい料理方法です。
とは言え、一般的にカツオのワラ焼きを「カツオのたたき」に置き換えられているようです。
では、カツオのたたきはどんな料理かというと、文字通りカツオをたたいて調理する方法です。
昔は塩などの調味料が高価なもので、今の時代のように誰もが手軽に利用できるものではありませんでした。そのため少量の調味料をカツオにすりこみ、たたいて味をなじませていました。
つまり、包丁や手で身をたたいて作った料理が、正式な「かつおのたたき」です。
カツオのワラ(藁)焼きはいつできた?
カツオのワラ焼きの誕生は諸説ありますが、最も有力だと思われるものは、土佐の大名によるルール化により、偶然生まれた説です。
1600年のころ土佐の漁師は、元々カツオを生の刺身で食べていたが、この地にやってきた大名の山内一豊がこれを見て、生食を禁止しました。理由は、当時多かった生魚による食中毒を恐れ、刺し身ではなく焼いて食べるようにルールを作りました。
漁師たちは大名の言いつけ通りにカツオを焼いて食べていましたが、たくさん焼いたカツオの中に最後まで火が通っていないレアなものが混ざっていたそうです。
「せっかくだから切って食べてみよう」と食べてみたところそれが大変おいしかった。
表面だけ焼けているだけでも「一応焼き魚」なので、漁師たちは大名のルールを守りながら、生魚を楽しんだことからカツオのワラ焼きが誕生したという説です。
このときにカツオのわら焼きが誕生したとなると、カツオのワラ焼きは約400年の歴史があることになります。
カツオを炙る(焼く)3つの理由
旨くなる
カツオを炙ることで皮と身の間の脂が溶け出し、濃厚な旨味になります。またワラで炙ることよるメリットもあります。
ワラに含まれる少々の油分で、燃やす火力が強くなります。火力が強くなれば加熱時間が短く済み、外側だけをサッと炙ることができ、中はレアのままで味わうことができます。
さらにワラの良い香りがカツオに移り、余分な水分が抜け、味が濃厚になるため、旨みが増します。
皮対策
カツオの皮は硬くて食べにくいですが、皮を火で炙ることで柔らかくなります。またカツオの皮を炙ることで香ばしくなり、カツオ独特の生臭さを消す効果があります。
ネギやしょうがなど薬味をたくさん盛って食べるのは、生臭さを消して、よりうまく食べるための方法です。
寄生虫対策
カツオは鮮度が落ちるのが早く、傷みやすいです。鮮度が失われたカツオは、アニサキスやテンタラリアという寄生虫による食中毒によるリスクがたかまります。
そのためカツオの表面を炙り、鮮度を保つための知恵です。
カツオのたたきを美味しく食べる〇つの方法
旨い時期に食べる
カツオがうまい季節は春の初カツオ、秋の戻りカツオと年に2回あります。その時期に食べることで、臭いのない新鮮なカツオを食べる機会が増えます。
味変して食べる
マヨネーズ+ポン酢+七味
の組み合わせで、カツオを食べてみてください。マヨネーズで重たくなってしまうように感じますが、かつおの味を七味とポン酢がキリッと引き締めてくれます。
醤油+酢+ごま油
ピリ辛ドレッシングで韓国風にす!加えてごまや生姜、一味唐辛子を加えるとさらにピリ辛の旨カツオになります。
塩こんぶ+粉チーズ
塩こんぶはうまみと、かつおの個性がぶつかりますが、粉チーズのうまみが両者の味を調整してくれるため、絶妙なハーモニーを奏でます。ポイントはカツオをぶつ切りにして、塩こんぶの味に負けないようにすることです。
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