スパイスの王様10種類を効能と一緒に紹介。料理をうまくするだけじゃない香辛料パワー

食品スパイス

スパイスの王様10種類をご紹介

スパイスは一振りするだけで、たとえ冴えない料理でもおいしくしてくれる、魔法の調味料だと言っても過言ではありません。温かいおそばには七味唐辛子、カルボナーラには黒コショウ、カプチーノにはシナモンなど王道の香辛料の組み合わせは、数え切れません。

ちなみに日本で一番売れているスパイスは、ヱスビー食品によると、 パセリなんだそうです。

そんな私たちの食事に欠かせないスパイスの種類は、多少スパイスの定義によっても違ってきますが、350~500種類あります。今回は、その中でも代表的なスパイスを10種類ご紹介します。

ブラックペッパー(黒コショウ)

ブラックペッパー

ブラックペッパーは、肉や魚料理など世界中で最も幅広く利用されているスパイスの一つです。かつては貴重品として重宝され、ヨーロッパの一部では金と同じ価格で取引されるほどでした。

スパイスの中で最も多く知られている一つの黒コショウですが、その他にホワイト、グリーン、ピンクの3種類があります。黒コショウは料理の下ごしらえから、食事中の味調整など様々なシーンで使えることができることからスパイスの王様と呼ばれています。

  • ブラック:色づく直前の緑色の未熟な実を皮ごと乾燥させたモノ
  • ホワイト:赤く熟した実を水につけて皮をむき乾燥させたモノ
  • グリーン:未熟な実の緑色が残るように乾燥させたモノ
  • ピンク:完熟した実を乾燥させたモノ

栽培・収穫方法

ブラックペッパーは、熱帯のつる性植物で、熟していない緑色の実を果皮ごと天日に乾させたものです。

効果・効能

ブラックペッパーは、唾液の分泌を促して消化機能を刺激し、便秘にも効果があります。体を温めたり、吐き気、むくみにも効果があります。またピぺリンという成分には、抗菌・防腐・防虫作用があることで知られています。

コリアンダー(香菜・パクチー)

コリアンダー

コリアンダーの葉はハーブとしてもよく知られる「パクチー」(香菜)です。青葉は南京虫のような青臭さ、不快臭を持っています。別名は、カメムシソウと呼ばれています。この独特の芳香が、人を病みつきにさせています。

完熟した実は青葉とは違い、爽やかな甘い香りがします。その香りは、青葉と同じ植物からなるものかと疑ってしまうほどです。ちなみにパクチーの本場のタイでは、葉っぱよりも根っこを食べる習慣があるようです 。

栽培・収穫方法

コリアンダーは、セリ科の1年草(1年で枯れてしまう草)です。葉が緑に茂ったら、収穫のタイミングです。

花芽をつけた茎は太くしっかりしていますが、花が咲く前に摘み取るようにしましょう。コリアンダーは花が咲くと、周囲の葉のエネルギー(栄養)を使い果たしてしまうため、葉が枯れてしまいます。

効能・効能

コリアンダーは味覚の感覚と食欲を高め、熱病、喉の渇き、灼熱感を抑えます。また胃腸の働きを促進し、新陳代謝を高めます。独特の香りをもつ葉・茎にはカロチン、ビタミンが豊富に含まれていて、一方シード(種)は、万人好みのさわやかな香りがします。

シナモン(肉桂)

シナモン

シナモンはスパイスとしても使われますが、元々は生薬や漢方として利用されてきました。また砂糖との相性が良く、甘味を引きたたせるお菓子作りによく使われています。最近では、40度前後で最も香りが強くなる特徴を生かし、アロマオイルとしても使われています。

栽培・収穫方法

シナモンはクスノキ科の常緑樹です。収穫は幹や枝の樹皮を細長い形状にはぎ取り、コルク層を除去したものがシナモンです。原産地はインド、マレーシア、スリランカなどの熱帯各地で幅広く栽培されています。

効果・効能

シナモンは体を温める作用が大きく、血液循環が良くなり、肌の色を美しくします。また胃腸の働きを強めて、内蔵を強くします。他の薬草が体内に吸収、利用されることを後押しするアーユルヴェーダで使われるハーブとしても利用されています。

ターメリック(うこん)

ターメリック

ターメリックは、見た目の色通りカレーの香辛料としてよく使われています。この独特な香りとほろ苦い風味が、カレーパウダーに欠かせない存在です。バーモントカレーやジャワカレーなど日本の大手カレー粉には、ターメリックがほぼ入っています。

別名ターメリックは、ウコンとも呼ばれていて、テレビCMでおなじみの「ウコンの力」は、このスパイスの成分で作られた飲み物です。

栽培・収穫方法

ジンジャーの中まで根の部分を茄でて天日干ししたものです。調味料や着色料の食品以外に衣料品としても用いられています。

効果・効能

ターメリックは強い抗菌作用があり、血液を浄化し、血管の新陳代謝を促し、体を温めてくれます。さらに新しい血液組織の生成をも促し、体質改善や皮膚病の治療などにも利用されています。

また高タンパク質の食事にターメリックを加えると、消化を助けてくれて、腸内細菌叢(チョウナイサイキンソウ)を整えます。

クローブ(丁子)

クローブ

クローブは、肉の臭み取りや焼き菓子に欠かせない香辛料です。ターメリックと同様で、日本では元々漢方薬として使われていました。日本では、昔から丁子(チョウジ)と呼ばれています。

栽培・収穫方法

クローブはインドネシアのモルッカ諸島原産で、主にタンザニア(ザンジバル島)、マダガスカル、ブラジル、インドネシアで栽培されています。熱帯多雨原産の常緑樹フトモモ科の花のつぼみを乾燥させたものです。

効果・効能

クローブは胃を温めて、ガスによる腹痛や胃痛にも効果があります。強い殺菌力から、殺菌・消毒効果があります。また口臭を抑える効果があり、虫歯や歯周炎にはホール(写真の右側の塊の状態)を噛んでると痛みが和らぎます。

クミン(馬芹)

クミン

日本人のカレーには、ターメリックと同じくらい欠かせない香辛料がクミンです。日本のカレーの香りは、クミンの香りが中心となっています。クミンは胡椒と同じぐらい歴史あるスパイスで、インドやメキシコ、東南アジアやアフリカなどの「エスニック料理」に欠かせません。

栽培・収穫方法

セリ科の一年草です。西欧(エジプトなど) や東洋で、昔から栽培されていました。スパイスとして利用するのは、細かいとげに覆われた種子です。

効果・効能

クミンは化液の分泌を促すことで消化促進、腹痛や胃痛などを緩和してくれます。またクミンは駆風作用(クフウサヨウ)にも優れていて、ガスがたまりやすい豆類やカリフラワー料理などには欠かせないスパイスです。

ジンジャー(生姜)

ジンジャー

ジンジャーはスパイスとしてだけでなく、西洋ではお菓子として、日本や中国、東南アジアでは生の食材としても食べられています。さわやかな香りと辛みをもつスパイスです。

栽培・収穫方法

ジンジャーは3000年前からインドなどの熱帯アジアで栽培され、今日では熱帯・亜熱帯地域をはじめ世界中で栽培されています。中国ではとても古くから薬用として利用され、紀元前4世紀の医学書にもその効能が記されています。

効果・効能

ジンジャーは消化力を強めて体を温め、保温、解熱、新陳代謝を活発にします。辛味スパイスの中では、胃や腸などの消化器に対して、辛味の刺激を及ぼさない唯一の香辛料です。また刺激の強い薬を飲むときに併せて飲用すると、それらの刺激から胃を守ってくれる効果があると言われています。

ナツメグ(肉荳)

ナツメグ

種子のまわりの網目状の赤い皮の部分がメース、ナツメグはその皮の内側の黒い種子を割った中の部分です。メースとナツメグは似ている香味で、甘い刺激性の香り、まろやかなほろ苦さが特徴です。肉や魚料理の臭みを消すことでよく使われています。

栽培・収穫方法

ナツメグは、高さ10メートル以上にもなるニクズク科の常緑樹の果実から取れます。生産国は、 東南アジアやスリランカ、モルッカ諸島などです。

効果・効能

ナツメグは中国や日本でも健胃薬として古くから使われていて、消化促進、特に小腸の吸収力を高めて、便秘を解消してくれます。また肌を美しくするスパイスとしても有名です。加熱すると刺激臭は弱くなり、甘さが強く出てきます。

マスタードシード(芥子)

マスタードシード

マスターシードは日本ではイエローマスタード(自からし)、ブラウンマスタード(黒がらし)、和がらし(オリエンタルマスタード)の主に3種類が流通しています。

マスタードシードはつぶすなどしてから、水分と合わせると特有の辛みと香りを発します。イエローマスタードはマイルドな辛み、ブラウンマスタードはそれよりも刺激的な辛みで、和がらしは鼻にツンとくる鮮烈な辛みです。

日本でおなじみの「からし」には、和風ねりがらしとねりがらしの2タイプがありますが、後者は和がらしと白がらし(イエローマスタード)を併用しているため、いくぶんマイルドです。

栽培・収穫方法

マスタードシードは、アブラナ科の一年草の種子を乾燥させたものです。 生産国は中央アジアから西アジア、中東、地中海沿岸 などです。

効果・効能

マスタードシードには、 鉄分やマグネシウム、リンなどのミネラルが豊富に含まれています。辛味成分であるアリルイソチオシアネートは、抗酸化作用や抗癌作用、腫瘍化防止の効果があると考えられています。

シードから搾油したマスタードオイルは利尿剤、神経痛湿布薬などに使われています。

カルダモン(小豆蒄)

カルダモン

世界で最も古いスパイスの1つと言われていて「スパイスの女王」とも呼ばれ、インド料理には欠かせません。カルダモンの名は、ラテン語で「心臓」を意味するcardiaと植物名amomumに由来すると言われています。

カルダモンは栽培も収穫も難しく手間がかかることから、サフラン、バニラなどとともに高価で貴重なスパイスです。コーヒーに加えて香りをつけて飲んだり、カレー料理の風味づけ、肉料理やソース、お菓子などの香り付けにも用いられます。

栽培・収穫方法

カルダモンは、インド、スリランカの原産です。半日陰で水はけのよい土壌を好み、暑さに強く、寒さには弱いです。また乾燥に弱く、デリケートなスパイスです。

効果・効能

カルダモンは唾液の分泌を良くし、体の脂肪を取り、食品の消化を助け、口臭も取り去ってくれます。さらに精神と感情をも刺激し、疲労回復、ストレス緩和を促し、脳を活性化させる働きがあります。