嘘や誤解が多い、野菜が復活する50度洗い。正しい洗い方で野菜をおいしく食べよう

食品野菜

野菜の50度洗いの正しい仕方

レタス、ホウレン草、水菜等の葉物野菜は、比較的早くしおれてしまいがちです。そんな元気のなくなった野菜をシャキッと復活させる方法が、50度洗いです。

50度洗いとは、野菜を50度のお湯で洗うことで野菜を元気にする方法です。そんなことをするだけで、「しなびた野菜が復活するの?」と、疑ってしまいがちですが、50度洗いの効果は絶大です。

しかし、50度洗いは間違った情報や誤解が多いので、正しい洗い方をの知識を覚えておきましょう。

50度洗いのメリット

50度洗いで野菜の鮮度が蘇る

水分の再吸収

農園などから収穫された野菜は、水分の蒸発を抑えるために、表面にある水分の出入りを調節するすきま(気孔)が、閉じた状態になります。50度のお湯で野菜を洗うと、その気孔が開き、水分が再吸収できるようになります。

50度洗いによって水分が復活した野菜は、収穫されたときの鮮度を取り戻します。誤解しがちですが、復活した野菜の鮮度は、50度洗いしたその瞬間だけ元気になるわけではありません。野菜そのものの鮮度が上がるので、長期的に長持ちする効果があります。

50度洗いした野菜としなかった野菜の保存状態を比べた場合、50度洗いしたレタスやキャベツ、小松菜の方が3日以上長く、しおれずに野菜が元気で保たれました。

表面に付着した酸化物や汚れの除去

50度のお湯には、水では取り切れない野菜表面に付着した酸化物を除去する働きがあります。酸化物を除去することにより、野菜の劣化を防ぐことができます。またお湯で洗うことは水では落とすことのできない、頑固な汚れを短時間で落とすことができます。

野菜のえぐ味(灰汁)の除去

50度洗いには、野菜の灰汁(アク)を取り除く効果があります。野菜やお肉を茹でたり、煮込んだりしていると、白い泡の湯なものが浮いてきますが、あれを灰汁と言います。

灰汁は雑味(えぐ味や苦味など)の素です。50度洗いは灰汁などの余計な味を洗い流し、野菜本来の旨みを引き出してくれる効果がります。

菌の大幅な減少

50度洗いした野菜は、水洗いしたものに比べて菌が90%以上除去できる結果だったそうです。佐賀県の矢山クリニックでは、入院患者さんが生野菜を食べられるように50度洗いを病院食に導入されました。

50度洗いの正しい洗い方

50度洗いの正しい洗い方

鮮度が落ちた野菜をみずみずしく蘇させ、旨みを引き出す50度洗いは、3つの工程を行うだけで誰もが簡単にできます。注意するポイントは、「お湯の温度を一定に保たせる、野菜をボウルから取り出したときに水分を十分に拭き取る」の2点だけです。

50度洗いの具体的な手順は、以下の3つの工程です。

50度のお湯をボウルに入れる

お湯が冷めにくいように、なるべく大きめのボウルに50度のお湯を入れましょう。厳密にいうとお湯の温度は、48度から52度が良いとされています。

温度が高いと電子レンジで温めたときのような状態になり、逆に43度以下の低い温度で行うと雑菌を増殖させてしまうおそれがあります。お湯の温度は、温度計を使って調節するといいかもしれません。ちょっと手間に感じますが、50度洗いの効果はその労力以上に価値があります。

野菜をお湯に浸す

鮮度が落ちて復活させたい野菜をお湯に浸し、洗います。お湯に浸して洗う時間の目安は、野菜の大きさ皮の厚さによって違います。野菜が柔らかくなってしまったり、水気を含みすぎてべちゃっとなっていたら、時間を調整するようにしましょう。

ちなみに葉物野菜やスプラウト、ハーブなどの野菜は30秒ぐらい、茎が太いブロッコリーやアスパラガスなどは3分ぐらいが、お湯に浸して洗う時間の目安です。初めて50度洗いする野菜は、洗う時間を短めにして、様子を見ながら時間を調整してみてください。

お湯の温度が低くなった場合は、足し湯をして50度の温度を保たせるようにしましょう。

水分を拭き取る

洗い終わった野菜は、ボウルから取り出して、ペーパータオルなどで水分を拭き取ります。野菜の水気が残っていると、せっかく鮮度を取り戻した野菜も傷みやすくなってしまいます。すぐに使わない野菜は、水気をしっかり切った後、冷蔵庫で保管してください。

50度洗いをした野菜
50度洗いする前と後の白菜と水菜

50度洗いの動画

その他の50度洗いに関するまとめ

野菜以外の肉や魚、貝類やきのこ類にも効果がある

50度洗いは、野菜以外の肉にも大きな効果があります。肉の場合は赤味が鮮やかになり、うま味を閉じ込めてくれる効果があります。

また他にもアサリやカキなどの魚介類をはじめ、きのこ類、果物、加工品にも効果があります。冷凍のお肉や魚は、5~7分ぐらいを目安に50度洗いを行ってください。冷凍でない場合は、2~3分ぐらいが目安です。

言うまでもありませんが、肉や魚、貝類を50度洗いした場合は、保存せずにすぐに調理してください。

50度洗いは誰が見つけた?

50度洗いは、野菜の低温スチーム調理法の技術研究所の平山一政さんが、偶然発見しました。野菜の低温蒸し開発テストを繰り返してるときに、野菜が50度で蒸すと元気になることがわかりました。

実際やってみて、驚きの効果を実感

私も野菜の50度洗いをやってみましたが、見事に葉っぱがみずみずしく復活し、元気になることを確認しました。野菜以外にも果物やお肉、キノコでも50度洗いができるとのことでしたが、それらはまだ実行できていません。チャレンジして報告したいと思います。

ぜひ、みなさんも50度洗いの効果のすごさを体感してみてください!