エコファーとフェイクファーとの違い。相次ぐラグジュアリーブランドのファーフリー宣言

ビューティエコ

エコファーとフェイクファーとの違い

フェイクファーやイミテーションファーなどの言葉は、昔からファッションアイテムに存在していましたが、「ニセモノ」や「真似」と言ったネガティブなイメージが強かったため、ラグジュアリーブランドは素材の使用を避けていました。

しかし、2015年ぐらいからファーに関する考え方が、大きく変わってきています。というのもラグジュアリーブランドが取り扱うファーは、元々リアルファーが主流でしたが、ここ数年でファーに対する取り組みに変化が起きています。その中で生まれた言葉が「エコファー」です。

この記事ではエコファーとフェイクファーの違い、ラグジュアリーブランドがリアルファーからエコーファーへ切り替えた理由などについてご紹介します。

エコファーとは?

エコファーは、2016年頃に海外のラグジュアリーブランドから使われ始め、今では日本でも取り扱われるようになりました。エコファーはここ数年で誕生した言葉なので、数年前のファッション辞典などには掲載されていません。

コファーの意味は、エコレザーやフェイクレザーと同じ意味の言葉です。

これまでは、フェイクレザーやフェイクファー、イミテーションファーなんていう言葉が使われていましたが、冒頭で申し上げたっとり「フェイク」は偽物であったり、チープで安っぽい印象を与えてしまいがちでした。

それが「エコ(エコロジー):ecology」、つまり環境にやさしいという言葉で代用することで、これまでのネガティブなイメージがなくなり、急速に広がり認知されるようになりました。

エコファーが取り扱われるようになった3つ理由

1.動物愛護団体からの反対

これまで動物愛護団体は、動物の毛皮(リアルファー)を使ったコートの生産に反対し、様々な活動を行ってきました。下記の動画は、バルセロナで動物愛護団体が裸で「毛皮反対」の抗議活動の動画です。

skinless(「皮なし」、毛皮を使うなの意味):裸で抗議活動

動物の毛皮は、コートやカバンなどの製品を作るために、毎年約6,000万匹の動物が世界中で殺されています。その製造されているうちの半分は、欧州連合(EU)で作られています。

世界一住みやすい国とされているフィンランドは、世界最大のミンクとキツネの毛皮を生産し、日本やアメリカ、中国などへ輸出しています。世界一住みやすい国は、世界で一番動物にやさしくない国だなんて、この事実を全く知らなかった私には、ちょっとショッキングでした。

2.リアルファーに負けないクオリティと豊富なデザイン

昔のエコファーは、見た目はリアルファーとそっくりでしたが、触り心地が全く違いました。しかし、近年は技術が発達し、見た目だけでなく触った感触まで本物に近づいてきました。

またエコファーは、リアルファーには出せない質感や色を自由にコントロールできるようになり、その表現の豊かさに多くのデザイナーが惹きつけられているのが実情です。

今後もエコファーは、リアルファーではできなかった表現が次々と誕生し、さらに進化していくはずです。

3.手頃な価格で長持ち

エコファーは、リアルファーよりも圧倒的に安い値段で手にすることができます。またエコファーはうれしいことに安いだけでなく、お手入れがリアルファーよりも簡単です。

リアルファーが濡れてしまった場合は、軽くふって水を落とし、乾いたタオルで毛並みに沿って拭き、陰干します。乾いた後は、金属のくしで毛並みを整えるなどの対応が必要です。また濡れ方によっては、購入したショップやクリーニング店へ持ち込む必要があります。

エコファーは濡れてしまった部分をタオルで拭き、ドライヤーで乾かすだけでOKです。

エコファーとリアルファー製品比較

メリットデメリット
エコファー耐久性がある熱や水分(湿気)に弱い
手入れが簡単
デザインが豊富
値段が安い
リアルファー弾力性と耐水性が優れている毛の長さや色が一本一本違う
保温性に優れている熱に弱い
ツヤや光沢の質感が良いにおいが吸着しやすい
感触が柔らく、心地よい手入れが難しい

代表的なリアルファー

リアルファーやリアルレザーは、本物の動物の毛皮や皮側皮を素材としている天然素材で作られています。代表的なリアルファーはミンク、コヨーテ、タヌキ、キツネ(フォックス)、ウサギ(ラビット)、カラクール(アストラカン、ペルシャンラム、スワカラ)などです。

1.ミンク

毛皮になるミンク

2.コヨーテ

毛皮になるコヨーテ

3.タヌキ

4.キツネ(フォックス)

5.ウサギ(ラビット)

6.カラクール(アストラカン、ペルシャンラム、スワカラ)

ラグジュアリーブランドがファーフリー宣言

ステラマッカートニー、アルマーニグループなどのラグジュアリーブランド、ザ・ノース・フェイス、ティンバーランドのファッショナブルな人気ブランド、ZARA、H&Mなどのファストファッションがファーフリーを宣言しています。

2017年にはグッチが、リアルファーの使用を全面廃止する「ファーフリー・ポリシー」を宣言し、2018年春夏コレクションから廃止しました。

PRADA(プラダ)

GUCCI(グッチ)

RALPH LAUREN(ラルフローレン)

Calvin Klein(カルバンクライン)

Tommy Hilfiger(トミー・ヒルフィガー)

View this post on Instagram

Model at work. @stellamaxwell for #TommyJeans 🔥

A post shared by Tommy Hilfiger (@tommyhilfiger) on