野菜の最適な保存方法は常温、冷凍、冷蔵?人参や玉ねぎ、大根など鮮度を保つテクニック
買ったばかりの野菜を冷蔵庫に保存したのに、「もう元気がなくなってしまった」と思った経験はありませんか?その原因は、野菜の保存方法が正しくなかったのかもしれません。
野菜は種類によって、鮮度を保つための保存方法の仕方が違います。
正しく野菜を保存してあげると、鮮度の高いおいしい状態を保つことができます。まとめ買いをしたり、一人暮らしだったり、急な予定が入って外食が増えたりすると、冷蔵庫の野菜が使いきれないことありすまよね。
正しい野菜ごとの保存方法を知り、一日でも長く野菜をおいしく食べれるようにしましょう。
正しく野菜を保存する5つの基本
生育状態を意識して保存する
収穫された野菜は、どれも育った環境が違います。例えば、日光を十分に浴びて育つトマト、寒さに耐えてできる白菜、水はけのよい土壌で育つジャガイモなど、育った環境(温度)はそれぞれです。
また収穫時に立っている野菜は、立った状態で保存した方が、鮮度が長く保つことができるものが多いです。ニンジンやネギ、アスパラガスやキュウリは、頭を上お尻を下にして、立てた状態で保存するのが基本です。
野菜の保存は、その生育環境に近い状態で保存してあげることが大切です。野菜はそうすることによって、鮮度を長く保つことができす。
適した温度で保存する
野菜が育った環境の温度は、野菜によって違います。そのため野菜を保存する場合は、それぞれの野菜にあった温度で保存する必要があります。
冷蔵庫には、冷蔵室や冷凍室、野菜室やチルド室、パーシャル室などの保存する場所がありますが、野菜を冷蔵庫で保存する場合は、それぞれ適した場所に保存しましょう。
水分蒸発を防ぐ
野菜を保存するときは、乾燥や酸化によって傷みやすいので、ジッパー付きの袋に保存するようにして、野菜の水分蒸発を防ぎましょう。野菜の多くは、85~95%が水分です。水分がなくなると野菜本来の味が、楽しめなくなってしまいます。
呼吸を抑える
野菜は収穫した後、スーパーで並んでいるときも、冷蔵庫で保存しているときも呼吸をしています。この呼吸する回数が多くなると、野菜からエチレンガスが発生し、野菜が傷んでいきます。
野菜を長くおいしく保つためには、野菜の呼吸の回数を減らし、エチレンガスを発生させないことが大切になります。
下処理が大切
冷凍保存に向いている野菜は、生のまま冷凍保存することができます。しかし、そのままでは冷凍保存に向いていない野菜は、下ゆでや塩もみなどの下処理をすることで冷凍保存することができます。
冷蔵庫内の役割と温度設定を再確認
冷蔵室
冷蔵室は、 食材類やドリンク類などを冷たく保存するスペースです。冷蔵室内の設定温度は、約3℃~6℃が設定の目安とされています。
※JIS規格(日本工業規格)では、冷蔵室の設定温度は4℃~5℃が目標設定されています。
冷凍室
冷凍室は、冷凍食材類やアイスクリームなど、凍らせたまま保存するスペースです。冷凍室内の設定温度は、約-20℃~18℃が設定の目安とされています。
※JIS規格では、冷凍室の設定温度は4℃~5℃が目標設定されています。
野菜室
野菜室は、野菜類や果物類を保存できるスペースです。 野菜室内の設定温度は、約-3℃~-8℃が設定の目安とされています。
※JIS規格では、野菜室の設定温度はありません。
チルド室
チルド室や肉類や魚類、乳製品など冷凍には向いていない食材を保存するスペースです。チルド室内の設定温度は、約0℃~-2℃が設定の目安とされています。
※JIS規格では、チルド室の設定温度はありません。
パーシャル室
パーシャル室は、肉類や魚類の表面だけ凍らせた除隊で保存できるスペースです。パーシャル室内の設定温度は、約-1℃~-3℃が設定の目安とされています。
※JIS規格では、パーシャル室の設定温度はありません。
野菜の保存場所を種類別に分ける
常温で保存する野菜
里芋やナス、ピーマンやカボチャ、玉ねぎやジャガイモなどは、原産地が熱帯や亜熱帯エリアであるため、低温環境に弱い性質があります。これらの野菜は、冷蔵庫内で保存せず、11℃~14℃の常温で保存してください。
ただこれら野菜をカットした場合は、エチレンガスが出やすくなる状態にあるので、ラップやビニールをして冷蔵庫に保存するようにしましょう。エチレンガスを防ぐには、冷蔵庫内の野菜室などの保存がオススメです。
冷蔵庫内に保存する野菜
その他の野菜の多くは、概ね冷蔵庫内で冷蔵や冷凍保存で問題ありません。ただそれぞれの野菜ごとに保存するときのポイントを抑えることで、より鮮度を長く保たせて保存することができます。
次の項目の「【野菜別】冷蔵庫内の保存場所と保存方法」をご覧ください。
【野菜別】冷蔵庫内の保存場所と保存方法
葉菜類
キャベツやレタス、白菜やホウレン草、小松菜や春菊などの葉菜類は、基本的に冷蔵室で保存します。
キャベツ
最適温度 | 0℃~5℃ |
保存期間 | 2週間が目安 |
キャベツは乾燥させないように新聞紙やクッキングシートにくるんでから、ビニール袋に入れて保存しましょう。保存するときは、キャベツの切り口の面が下になるようにして、空気との酸化を防ぐようにするのがポイントです。
またキャベツ丸ごと保存する場合は、芯が水分を吸いやすいので、芯をくり抜いて保存することで乾燥を防げます。くり抜いた部分には、クッキングペーパーを詰めて、袋やジッパーにいれて保存してください。
レタス
最適温度 | 5℃前後 |
保存期間 | 1週間が目安 |
レタスは保存方法は、キャベツと同様のポイントを抑えて保存してください。
白菜
最適温度 | 0~5℃前後 |
保存期間 | 2週間が目安 |
白菜は、新聞紙などでくるみ、芯を下にして立てて保存してください。外側から剥がしながら使うと、傷みにくく、日持ちします。
カットすると、切り口の断面から鮮度が落ちていき、保存期間は1週間ぐらいになってしまいます。カットした白菜は、クッキングペーパーで切り口を包み、ジッパーに入れて保存しましょう。
ホウレン草
最適温度 | 0~5℃前後 |
保存期間 | 2週間が目安 |
ホウレン草は乾燥を防ぐため、新聞紙やクッキングシートで包み、ビニール袋に入れて保存します。
ビニール袋の口は、ピッタリ閉めないでください。密封してしまうと、ホウレンソウから出た水分で袋の中が蒸れてしまい、それが原因で傷んでしまいます。
根菜類
大根や人参、ゴボウや生姜などの根菜類は、基本的に冷蔵室で保存します。
大根
最適温度 | 0~5℃前後 |
保存期間 | 2週間が目安 |
大根は葉を根元から切り離してから、新聞紙に包んで保存します。葉をつけたままにすると、葉が水分を吸ってしまい、鮮度が落ちやすくなってしまうためです。
また大きい大根の場合は2つにカットして、切り口から発生するエチレンガスを防ぐために、切り口にラップをして包んで保存するようにしましょう。
人参
最適温度 | 0~5℃前後 |
保存期間 | 2週間が目安 |
人参は細くなっている先端から乾燥しやすく、クッキングペーパーで包み、ジッパーで保存するのがオススメです。ジッパーがない場合は、新聞紙などに包んでおくだけでも違います。
また保存する際は、人参を立てて保存するようにしましょう。使いかけの人参には、カットした断面にラップをすることで、エチレンガスの発生を抑えて、鮮度を保つことができます。
ゴボウ
最適温度 | 0℃前後 |
保存期間 | 1週間~2ヶ月が目安 |
ゴボウは土がついている状態か、そうじゃないかで保存できる期間が大きく変わります。土がついている状態であれば、冷蔵室に入る大きさにカットして新聞紙に包み、ビニール袋などに立てて保存すると、最大で2ヶ月保存できます。
逆に土を洗い落とした状態の場合、乾燥と高湿に弱いゴボウは、1週間ぐらいが保存できる目安になります。
生姜
最適温度 | 14℃前後 |
保存期間 | 4週間が目安 |
生姜の保存する際は、乾燥を防ぐために水に浸して保存することをオススメします。3日に1回水を取り替えると、最大で1ヶ保存することができます。生姜を浸す水の量は、生姜が全部水に浸かるぐらいで冷蔵室に保存してください。
また生姜の保存は冷蔵室でなくても、新聞紙で包み冷暗所でも保存できます。その場合の保存期間の目安は、1週間です。
ねぎ類
玉ねぎや長ネギなどのねぎ類は(条件付きで)常温保存すると、基本的に長い期間保存できます。
玉ねぎ
最適温度 | 0~5℃前後 |
保存期間 | 1ヶ月が目安 |
玉ねぎの保存は皮つきの場合、夏以外は紙袋やネットに入れて、風通しのよい涼しいところで常温保存すると1ヶ月保存できます。夏場は、冷蔵室に保存してください。
皮を向いたりカットした状態の場合は、冷蔵室に保存して、1週間が目安です。また春に出回る新玉ねぎは傷みやすいため、カットした場合と同様に、冷蔵室に保存して1週間が保存できる目安です。
長ねぎ
最適温度 | 0~5℃前後 |
保存期間 | 1ヶ月が目安 |
長ねぎ1本の場合は新聞紙などに包んで、冷暗所で立てかけて保存すると1ヶ月ぐらい保存できます。
カットして保存する場合は、切り口からのエチレンガスの発生を防ぐために、ラップをして冷蔵室に保存してください。ジッパーに入れて保存すると、ラップの必要がないのでオススメです。
芋類
ジャガイモやさつまいもなどの芋類は、基本的に冷暗所での保存がオススメです。
ジャガイモ
最適温度 | 5℃前後 |
保存期間 | 2~3ヶ月が目安 |
ジャガイモは冷蔵室で保存した場合、デンプンが糖分へと変わる性質(3~5℃)を持っています。そうなると、ジャガイモの味が変わりホクホク感が失われがちになるため、新聞紙などに包み冷暗所で保存がオススメです。
さつまいも
最適温度 | 12℃~15℃前後 |
保存期間 | 1ヶ月が目安 |
さつまいもはジャガイモ同様、新聞紙などに包み冷暗所で保存がオススメです。
里芋
最適温度 | 10~25℃前後 |
保存期間 | 1ヶ月が目安 |
里芋はジャガイモ同様、新聞紙などに包み冷暗所で保存がオススメです。
果菜類
トマトやナス、ピーマンなどの果菜類は、基本的に常温保存がオススメです。
トマト
最適温度 | 10℃~15℃前後 |
保存期間 | 2週間が目安 |
真っ赤に熟したトマトは、ジッパーに入れて冷蔵室に保存、青い部分が残っていて、追熟するトマトは常温保存してください。
複数の青いトマトを保存する際は、トマトが重なった状態だとその部分が傷みやすくなるため、ヘタの部分を下にして保存するのがオススメです。赤く熟してきたら、冷蔵室に移動してください。
ナス
最適温度 | 10℃前後 |
保存期間 | 1~2週間が目安 |
ナスはほどんどが水分で構成されていて、保存する際に水分が失われやすいです。そのため一つずつラップにくるんで冷蔵室に保存してください。低温に弱いので、冷蔵室の奥より手間側に保存することを意識しましょう。
キュウリ
最適温度 | 10℃前後 |
保存期間 | 1週間が目安 |
キュウリは水分量が多く、乾燥や湿気、熱や寒さに弱く、ジッパーに入れて立てた状態で冷蔵室へ保存してください。
野菜の保存についての覚えておきたいこと
食感を楽しむ野菜は冷凍保存は難しい
野菜の冷凍保存した場合は、解凍時に水分が出てしまうため、レタスやキャベツなど「シャキシャキ」の食感は失われてしまいます。
干し野菜は栄養価が高く、長持ちする
干し野菜のメリットはあまり知られていませんが、天日干しすることで野菜に含まれる「ビタミンD・ビタミンB群・カルシウム・鉄分などの栄養価が干す前よりも高くなる」ことがわかっています。
干し野菜の代表である切り干し大根は、生大根と切り干し大根を比較した場合はエネルギーは約15倍、食物繊維は約16倍になります。またカルシウムは、生大根が23mgなのに対して、切り干し大根は540mgと、約23倍になるデータがあります。
干し野菜のメリットは栄養価だけではありません。干して水分抜いた野菜は、乾物と同じように長期保存できます。特に数日間じっくりと天日干しして乾かした干し野菜なら、常温でも数週間から半年ほど保存ができます。
冷蔵保存に向かない野菜に起こる低温障害
冷蔵庫に入れていたトマトなどの野菜が、ブヨブヨに柔らかくなってしまった経験はありませんか。これは、野菜の鮮度が失われ、栄養などが損なわれたときに起こる「低温障害」の症状です。
また常温保存に適した野菜を、冷蔵庫など(10℃以下の環境)で保存した場合は、表面にくぼみや変色、水っぽくなるなどの症状も、低温障害にあらわれる野菜の品質が損なわれる場合もあります。
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