裁判員候補者に選ばれる確率が意外と高い!選任後の辞退率はもっと高い
裁判員制度が始まり、身の回りの人が裁判員候補者になった話しを耳にします。実際に裁判員候補者や裁判員に選ばれる確率は、どれくらいなのでしょうか。また裁判員候補者に選ばれた後に、辞退する人の割合(辞退率)が年々上昇傾向のようです。
この記事では私たちが裁判員候補者になる確率、裁判員候補者の選ばれ方などをご紹介します。
都道府県ごとによって裁判員の確率は様々
最高裁判所は、2009年の裁判員候補者数が全国で計34万4900人と発表しました。裁判員候補者になる確率は全国平均で300人に1人程度です。あなたはこの数字を聞いてどう感じますか。「選ばれるかもしれない確率は、 結構高い」と思った方はいらっしゃいませんか。
裁判員候補者になる確率は、住む都道府県や犯罪の数によって変わってきます。当然のことながら、人口が多く住んでいる都道府県では、有権者(人口)が多いので、裁判員候補者になる確率は低くなります。確率が最も低いのは秋田県で有権者624人に1人、最も高いのは大阪府で182人に1人です。
ちなみに長い人生の一生を考えた場合は、約50人に1人は裁判員になる計算です。
朝日新聞
2017年の埼玉県における選任状況は、以下の確率になるようです。
- 選挙人名簿登録者数:608万8,276人
- 裁判員候補者名簿登録数:1万200人
- 裁判員候補者:6,235人
- 裁判員数:438人(補充裁判員を含む)
- 裁判員 : 約13,900人に1人
- 裁判員候補者:約1,000人に1人
裁判員候補者の選ばれ方
裁判を開く地裁・支部は、対象事件が起訴され、公判前整理手続きで審理日程が決まると、公判開始の6週間前までに裁判員候補者に呼び出し状を送付します。呼び出し状が届いた裁判員候補者は、指定した日の裁判員選任手続きに出頭を求められます。
裁判員候補者名簿を作ります(前年の秋目安)
候補者リストは、地方裁判所ごとに管内の市町村の選挙管理委員会がくじで選んで作成します。そのリストに基づき、翌年の裁判員候補者名簿を作成します。
※裁判員候補者名簿に登録されるのは20歳以上
裁判員候補者名簿登録の通知案内
対象者には、裁判員候補者名簿に登録されたことを通知します。この段階ではすぐに裁判所へ行く必要はありません。その際、就職禁止事由や客観的な辞退事由に該当しているかどうかなどをたずねる「調査票」が送付されます。
調査票では、以下の内容が確認されます。
- 就職禁止事由への該当の有無
(例:自衛官や警察職員など) - 客観的な辞退事由に該当する場合、1年を通じての辞退希望の有無・理由
(例:70歳以上,学生または生徒,過去5年以内における裁判員経験者など) - 重い疾病または傷害があるため裁判員としての参加が困難な場合、1年を通じての辞退希望の有無・理由
- 月の大半にわたって裁判員となることが特に困難な特定の月がある場合,その特定の月における辞退希望の有無・理由
(例:株主総会の開催月など)
※調査票を返送し明らかに裁判員になることができない人、1年を通じて辞退事由が認められる人は、裁判所に呼ばれることはありません。
事件ごとに名簿から、くじで候補者が選ばれます
裁判員候補者は事件ごとに裁判員候補者名簿から、くじで選ばれます。
質問票と一緒に選任手続期日の通知
くじで選ばれた裁判員候補者には、質問票を同封した選任手続期日のお知らせが届きます。このお知らせは,法律上「呼出状」と呼ばれています。
裁判の日数が4日以内の事件では、1事件あたり70人程度の裁判員候補者にお知らせがお送られます。質問票を返送し、辞退が認められる場合にはその旨の連絡が届きます。
「質問票」で 、以下の内容が確認されます。
- 介護または養育が行われなければ、日常生活を営むのに支障がある同居の親族がいる
- 仕事における重要な用務があって、自らがこれを処理しなければ著しい損害が生じるおそれがある
- 他の期日に行うことができない社会生活上の重要な用務がある
- 重大な災害で被害を受け,生活再建のための用務がある
- 妊娠中または出産の日から8週間を経過していない
- 同居していない親族または親族以外の同居人を介護・養育する必要がある
- 親族または同居人が重い病気・けがの治療を受けるための入通院等に付き添う必要がある。
- 妻・娘が出産する場合の入退院への付添い、出産への立会いの必要がある
- 住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり、裁判所に行くことが困難である
- その他、裁判員の職務を行うこと等により、本人又は第三者に身体上、精神上または経済上の重大な不利益が生ずる
選任手続期日
候裁判員候補者は、辞退を希望しなかったり、質問票の記載のみからでは辞退が認められなかった場合は、選任手続期日の当日に裁判所へ行くことになります。
裁判長は候補者に対し、不公平な裁判をするおそれの有無、辞退希望の有無・理由などについて質問をします。候補者のプライバシーを保護するため、この手続は非公開となっています。
6人の裁判員を選任
最終的に裁判員6人が、事件ごとに選ばれます。
※必要な場合は補充裁判員も選任します。
裁判員候補者の辞退率
2019年でスタートから10年
2019年で裁判員制度が実施されて10年たちますが、裁判員候補者に選ばれながら辞退する人の割合(辞退率)は上昇傾向です。2009年の辞退率は53.1%でしたが、2018年には67%に達しました。
候補者を裁判所に呼び出して裁判員を選任する「選任手続き」への出席率は2009年が83.9%、2018は60%台にまで減ってしまいました。無断で欠勤する人の割合は、30%以上を超えます。
裁判員候補者の辞退理由
- 70才以上や学生だったため辞退:22.8%
- 事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがあったため辞退:18.6%
- 病気やけがのため辞退:8.5%
- 介護や子育てのため辞退:5.7%
- 精神上、経済上の不利益のため辞退 :4.7%
その他裁判員に関するアレコレ
裁判員の人数は事件によって違う
呼び出す人数は、事件ごとに50~100人程度とされています。実際の裁判員候補より多い人数に呼び出しがかかる理由は、 仕事や育児・介護などの辞退が認められたり、 事件関係者と知り合いであるなど、裁判員を務めることができない可能性があるためです。
裁判員に選ばれる人数は?
裁判員は6人です。ちなみに裁判官は3人です。
あたなが裁判員に選出される確率は?
1/302 (裁判員候補になる確率)× 1/10 (裁判員候補から裁判員に選出される確率)
=約1/3,000です。
裁判員に選出される確率は、あなたが一生のうちに該当者になるかというと微妙な数字です。ただ家族や仲間内など、自分とつながりがある人が該当者になることは十分ありえる確率です。
日常生活で起こる確率と比較
- パチンコやスロットで大当たりする確率=1/400
- 自動車事故で死ぬ確率=1/5,000
- 飛行機が墜落する確率=1/200,000
- 雷に打たれる確率=1/10,000,000
- ドリームジャンボ宝くじ1等(500,000,000)=1/10,000,000
- 隕石にあたる確率=1/10,000,000,000
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